家族同伴で精神科受診
待合室で診察の順番を待っていると、
たまに家族と一緒に診察室へ入って行く患者さんがいる。
本人の症状がひどく、自ら説明が出来ない場合は、
必然と家族が同席し、説明することになるだろう。
だが、私が見ている限りは、そうではないようだった。
かく言う私も、最初の頃、数回母が同席したことがある。
もちろん私が希望したわけでない。
診察室から逃亡
ある日の診察室。
同席した母が言う。
「自信を持ってやればいいんだから」
「自信は後からついてきますからね」
そうU先生が言うも、母はやめない。
どれくらい黙って聞いていただろう。
私はついに耐え兼ねて、大声を出した。
「もういい加減にしてよ!!!」
そう叫んで、私は診察室を出て病院を飛び出し走った。
こうやっていつもいつも否定するんだ。私が悪いだけだって。
何一つ理解しようとしない。
すぐに父が追っかけてきた。
こう書いて気付いたが、症状がひどくなってきてた時期かも知れない。
それまでは一人で車を運転し通院していたから。
その日はそのまま診察室へ戻らず帰宅。
次回の診察の時に、叱られるかと思いながら謝ったら、
U先生は全然怒ってなかった。
ついに先生が怒鳴った
それからまた同席したある日の診察室。
いつものように、母は私を責めていた。
私が何か発言しても、~すればいいだけのこと、
とことごとく否定してきたのだ。
そしたら黙って聞いていたU先生が大声で怒鳴った。
「黙ってなさい!放っておいてあげなさいよ!!」
驚いた母は、心臓があぶって苦しいと言い出した。
私はまだ母の正体がわかってなかったから、
母の手を握り、子供の頃のように母を守ろうと、U先生を睨んだ。
「お父さん呼んできて」と言うので、
私が母を待合室の父のところへ連れていって、診察室へ戻った。
自分の心配をしてるだけ
「自分達が直す気がないなら、せめて黙っていてくれるといいんだけどね、
ああやって治療の妨げだけするから困ったもんだよ。
お母さんはね、自分の心配してるだけだから。あなたの心配なんかしてない」
衝撃的な言葉だった。
でも私は気づいてしまったのだ。
U先生の言う通り、それまでずっと母は自分の心配しかしてないということを。
私が病気で困るのは私じゃなくて、母なんだと。